研究内容について
研究課題名
子どもの最善の利益に寄与する特別養子縁組「生みの親」への有効な支援の検討
-「生みの親」と「養子となった子」の語りと支援者へ調査の結果から-
研究背景
2016年の児童福祉法改正以降、子どもを主体とした理念や方針が定着しつつあり、特別養子縁組制度の推進が進められている状況にあります。2022年の特別養子縁組年間成立件数は580件でした。(司法統計2022)
制度の推進は成立件数の数だけ当事者が存在しつづけることを意味し、それに合わせて当事者である“養子となった子”“生みの親”“養親”それぞれへの支援を拡充させていくことが重要となります。しかしながら2016年の調査によると、児童相談所における各当事者への支援は、“養子となった子”に対して40.7%、“生みの親”に対してはわずか4.3%が行っているという結果でありました。民間あっせん団体における各当事者への支援は、“養子となった子”に対して66.7%、“生みの親”に対しては72.2%が行っているという結果でありましたが、その方法や内容については団体の方針に一任されている現状があります(厚生労働省2016)。2022年の調査でも1事例あたりの支援回数はいずれの機関を介しても限定的であることが分かっており(政策基礎研究所2022)、制度当事者への支援については十分ではない状況があると考えました。
今後のさらなる制度の推進に向け、調査・研究を基にした“生みの親”のニーズを反映した支援の検討および実践が求められていると同時に、養子となった子の立場から求める生みの親支援を明らかにすることが、当事者中心の支援を検討する上で不可欠であると考えました。また、日本における特別養子縁組のあっせんには児童相談所と民間あっせん団体が関わっており、それに加えて制度の選択・利用を決断しあっせんに至るまでには、予期せぬ妊娠に関する相談窓口である妊娠相談機関も関わっている場合もあります。各支援者・支援団体が、“生みの親”に対してどのような支援を行っているのか調査し、現状を把握する必要があると考えました。
研究目的
よって今回,以下を目的として調査を行うこととしました。
- “生みの親”へのインタビュー調査を行い,妊娠・出産から現在まで受けた支援の内容や求めていた支援,今後求める支援について理解することから,”生みの親“のニーズに即した支援について考察・提言すること
- “養子となった子”へのインタビュー調査を行い,“養子となった子”と“生みの親”とのReunionを前提としたとき,“生みの親”へのどのような支援が必要であるのかを理解することから,“養子となった子”の立場から求める“生みの親”支援を考察・提言すること
- “生みの親”を支援する支援者・支援団体を対象とした調査を行い,“生みの親”に対し行われている支援,今後必要と考えられる支援を調査し,現状と展望を把握することで必要な“生みの親支援”を考察・提言すること
研究方法
研究協力に同意いただいた“生みの親”“養子となった子”各対象者に対して、2回のインタビュー調査を行います。研究協力に同意いただいた支援者・支援団体に対しては質問票調査およびインタビュー調査を行います。
研究に関しては東北福祉大学大学院研究倫理審査委員会の承認(承認番号144)を得て実施し、いずれの調査においても必要な倫理的配慮を実施します。
また本研究は科学研究費助成事業(課題番号:1 9 K 2 4 2 3 8)です。
